静岡県の若者の「消費」に関する動向調査

1. 調査目的

平成27年度、県の消費生活相談窓口へ寄せられた相談件数は6,800件、前年度比8.7%増。特に20代は13%増、30代は15%増と、20代・30代の相談件数の増加率は平均を大きく上回りました。アダルト情報サイトからの架空請求、フリーローンやサラ金に関する相談、エステや美容サービスに関する相談が多く寄せられています。
また、成年年齢が18歳へ引き下げられることが民法改正案として浮上しており、18歳からさまざまな契約を一人で交わせるようになる見込みです。そのため、新たに成年となる18、19歳は、未成年取消権を行使することができず、消費者トラブルの被害にあう可能性がさらに高まることになり、自立した消費者として必要な知識、価値観を養うことが急務となってきました。
そこで、平成28年度、静岡県では、県内の若者の現状を把握し、消費者教育を推進するため、インターネット調査を実施しました。

2. 調査概要

調査目的
静岡県の若者を対象とした消費者教育を推進するための基礎データとして活用することを目的とする
調査手法
インターネット調査
調査地域
静岡県全域
調査対象者
調査地域に居住している18~39歳の男女個人
調査人数
1,000人(男性349人、女性651人)
調査期間
平成28年11月4日(金)~11月13日(日)

3. 調査結果

商品やサービスの情報収集には、テレビ利用が最も高く、価格・品質を重視して選ぶ。生活費以外のお金の使い道は「貯金」が最多。

まずは、商品・サービスなどの情報収集手段、選ぶ基準、お金の使い道について、若者の消費動向について調査しました。

Q1. 商品・サービスなどの情報を収集する手段として何を利用していますか?(複数選択)

スマートフォンの普及により、テレビを観ないと言われている若者ですが、商品・サービスの情報収集手段には、「テレビ」が72.8%と、まだまだテレビを重きに置いていることがわかります。性別に見ると、SNS等の利用は、女性が50.5%と、男性24.1%に比べ、非常に高くなっています。男性は、パソコンの「インターネットサイト」を多く利用するのに対し、女性は、「携帯電話・スマートフォンのインターネットサイト・アプリ」を重視していることもわかります。

Q2. 商品・サービスなどの選択する際、どのような基準で選びますか?(複数選択)

「商品・サービス選択時に重視する点」は、全体では「価格」が90.3%と最も高く、次いで「品質」が65.6%となっています。「見た目」「評判」「ブランド・メーカー」が2割を上回っていました。「環境に配慮したもの(包装が少ない・リサイクルできるなど)」は1.3%、「社会貢献(オーガニック・フェアトレード・被災地支援など)」は0.8%と、エシカル消費への関心は、非常に低いことがわかります。

Q3. 生活費以外で、どんなモノ・コトに優先的にお金を使いますか?(複数選択)

「お金の使い道」は、全体では「貯金」が54.8%、「買い物」は54.2%で5割を上回っており、次いで「趣味・習い事」が42.5%となっていました。性別に見ると、「男性」は、「趣味・習い事」「金融商品による資産運用(貯金除く)」が高いのに対し、「女性」は、「買い物」「美容」が高くなっています。

堅実志向が強いと言われる若者ですが、今回の調査では、半数弱の若者は貯金をしていない(できていない)ということがわかります。また、男性は、趣味や習い事、資産運用と“目に見えない価値”にもお金をかけていますが、女性は、買い物や美容といった“目に見える価値”にお金をかけています。いずれにしても、“自分磨き”にお金をかける傾向にあります。

ほとんどの若者が、消費者教育に関する授業や講座を受けたことがないと回答。エシカル商品を買ったことがあるのは、わずか1.7%。

消費者教育を受けた経験があるか、エシカル消費(エシカル商品)の認知度について調査を行いました。

Q4. 今までに消費者教育に関連する授業・講座などを受けたことがありますか?

「消費者教育」の授業・講座参加経験は、全体では「あり」が7.8%、「なし」は92.2%。ほとんどの若者が、「消費者教育」講座に参加していないことがわかります。

小・中・高校の学習指導要領に、消費者教育に関する内容が盛り込まれていますが、学校で習った経験がないと多くの若者が回答しています。授業数も少ないことから、小・中・高校で学んだとしても、学校卒業後、ほとんど記憶していないことがわかり、若者世代の消費者教育の重要性が示唆されます。

Q5. 「消費者教育に関連する授業・講座などを受けたことがある」と答えた方は、どこで受けましたか?(複数選択)

「消費者教育」講座参加経験者における「消費者教育の受講場所」は、全体では「高校」が39.7%、次いで「大学」「中学校」はそれぞれ30.8%でした。

Q6. エシカル消費(エシカル商品)についてどの程度知っていますか?

「エシカル消費」(※1)の認知は、全体では「言葉の意味を知っており、エシカル商品を買ったことがある」が1.7%、「エシカル商品を買ったことはないが、言葉の意味を知っている」は2.4%、「言葉を聞いたことがある」は7.9%で、認知計は12.0%でした。
Q2.で、商品・サービスの選択時に選ぶ基準として、「環境に配慮したもの(包装が少ない・リサイクルできるなど)」は1.3%、「社会貢献(オーガニック・フェアトレード・被災地支援など)」は0.8%と低い数値でしたが、「エシカル消費」を知っていても、重視しない傾向にあるようです。
半数以上が「貯金」をしておらず(できていない)(Q.3の結果より)、消費には、「価格」を重視する傾向があります(Q.2の結果より)。価格が高くなりがちな「エシカル商品」を選択する余裕がないのかもしれません。このことは、「しずおか消費者教育未来会議」における若者からも意見が出されていました。

(※1)「エシカル消費」とは、地域の活性化や雇用なども含む社会や地球環境に配慮したものを購入、あるいは消費すること。

Q7. 商品・サービスを選択する際に、環境保全、被災地の支援、地産地消、開発途上国の労働者の生活改善など、社会貢献につながるものを意識的に選択することがありますか?

例えば、次のロゴがついた商品

「商品・サービス選択時の社会貢献関連選択意向」は、全体では「ある」が6.0%、「どちらかといえばある」は23.2%で、「ある」の合計は29.2%でした。

社会貢献商品の代名詞ともいえる「地球環境配慮商品」「被災地支援商品」「地産地消商品」「フェアトレード商品」。インターネット調査とは別に、若者へのインタビューで、影響の度合いについて確認しました。
「地球環境配慮商品」は認知度が高く、「フェアトレード商品」は一部認知されていましたが、商品選択の際に、ほとんど影響を与えていないことがわかりました。ラベルを見て社会貢献商品だと気づいたとしても、購入後のお金が適正に社会貢献事業に使われているのか不透明といった不信感から、購入に繋がりづらい可能性も示唆されました。

若者に「消費者市民社会」の一員としての認識を持ってもらうべく、啓発事業の必要性が高まる結果に。

今回の調査により、若者の「消費行動」が与える社会的影響に対する意識は、極めて低いことがわかりました。
この結果を踏まえ、「しずおか消費者教育未来会議」では、自分自身の消費行動(買い物)を振り返り、消費の向こう側(商品が作られる背景等)や、消費者としてどんな未来を作りたいかを考えることで、「消費者教育」の土台となる、“自分ゴトとして捉える”視点を養いました。
本ホームページ等を通じて情報発信していくとともに、まずは、「消費者市民社会」の一員としての認識を持ち、若者自身が賢い消費者となるために、必要な啓発事業を推進していきます。